実は前回の「大正史講義」よりも先に読み終わっていた「千夜千冊エディション 大アジア」。
少し前に(と思ったけど、もう一年近く前か)「頭山満」の本を読んでいたように、大アジア主義に共感はしないけど、興味はあるおっさん。
そんなわけで有名な書評サイト「千夜千冊」をテーマによって文庫化したこの本を書店で見つけて購入。読了しました。
個人的に一番驚いたのは、「アジア英雄伝」という本の書評の中で康有為が日本に亡命していたのを知ったこと。
世界史の教科書に出てきた「戊戌変法運動」の主導者の康有為が日本に亡命していたとは全然知らなかったなあ。ほんま知らんことばっかりやで。
「リオリエント」や「ヨーロッパ覇権以前」の書評を通して、ウォーラーステインの「世界システム論」のような「世界」の考え方を、ヨーロッパの歴史が世界の歴史であり、ヨーロッパの見方が世界の価値観であると偏った見方であるとする、全体の論調はおっさんも共感できるところではあります。
とはいえ、おっさんはウォーラーステインの著書も未読で、紹介された書籍もちゃんと読めていないので、ちょっと保留せざるをえないのが残念です。
ただ、ではそれに変わる見方、歴史観のようなものを夜郎自大なものでなく、ある程度の公正さを備えたものを、いまの日本が提供できるのか、といえば甚だ疑問としか言いようがないです。
「大東亜共栄圏」ですら反省も否定もできない言論や思考の状況で、なにか新しいものが生まれてくるのか、生まれてきたとして結局夜郎自大的な「わし(日本)ひとりよかったらそれでいいんじゃ」としか言いようのないものしか生まれてこないのではないかという感があります。
そこを手放せないから、もうすでに日本はアジアのリーダーですらなく、急激な転落の絶壁が目の前に現れているのではないかと思います。外国人実習生制度なんか日本の惨めさの最たるものではないかと思います。
でも、すごい刺激にはなる本で人身事故で止まった電車の中で一気に最後まで読み切ってしまいました。
前回