「まなさんと一緒」の日々

一緒に暮らしている、猫のまなさんとの日常を記していきたいと思います。

「大正史講義」「大正史講義【文化篇】」を読み終える 読書量を増やすための読書記録64

年末まで保つだろうと購入した2缶分の灯油が、急激な寒さのせいで早くも1缶分なくなり、こりゃ年末まで保ちそうにないな、年末までもう一度灯油を買いに行かなければなと思っているおっさんです。

 

 

灯油予算的には、もう2缶分は大丈夫という感じです。

とはいえ、世界情勢的に来年はもっと灯油が高くなっている可能性もあり、2台体制で動かしているファンヒーターを1台だけで生活が成り立つように、もうちょっと生活環境を整える必要がありそうです。

 


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というか、海運リスクが高まると諸物価がさらに上昇する可能性があり、もうおっさんの安月給では生活が成り立たない世の中になるのかもしれません。

 

 

ほんま、日本の政治はどこに経世済民の文字があるのでしょうか?

まあ、庶民なんぞ死に絶えた方がいいと思ってるんでしょうな。

 

 

それはさておき。

 

 

読書記録、また前回からだいぶ空いてしまいました。

そうそう11月の古本市で石橋湛山について発表するかもということで、前回は「情熱でたどるスペイン史」を、そして今回は「大正史講義」「大正史講義【文化篇」を読んだのでした。

 

 

 

 

あまりに論稿が多岐にわたるので、感想を書けばいいのかわからなかったのですが、興味をひいた点をむりやりつなげて感想らしきものを書こうと思います。

 

 

大正政変後に成立した山本権兵衛内閣は、与党政友会の協力の下、行政整理や陸・海軍省官制改正(大臣次官を予備・後備役に拡張)、枢密院官制改正を発表し、また文官任用令を改正して政党員就官の門を拡げるなど、次々と改革を行っていった(略)。しかし順調かと思われたこの内閣も、思わぬところから躓くことになる。外国からの艦船購入をめぐる海軍の収賄事件、いわゆるシーメンス事件の発覚である。(略)

 この事件は、細かく見れば、シーメンスリヒテル事件と、その捜査の過程で明らかになった軍艦金剛の入札とヴィッカーズ社受注にまつわる贈収賄事件=ヴィッカーズ・金剛事件の二つの事件からなる。

(P.39~40)

 

 

軍艦金剛というのは、この事件が発覚する1914(大正3)年の前年に竣工した巡洋戦艦金剛のことで、この金剛は日本初の超弩級艦として有名です。

 

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またイギリスのヴィッカーズ社で建造された艦であることは、某ゲームのおかげ?もありよく知られた事実だと思います。

 

 

しかし、シーメンス事件と金剛の建艦に関わりがあるというのは、まったく知らなかったなあ。

 

 

参考文献として紹介されている「日英兵器産業とジーメンス事件」という書籍、ほしい。

 

 

ちなみに「シーメンス」事件という名称がまかり通っていますが、ドイツ語での発音は「ジーメンス」らしいです。なので、上の書籍も「ジーメンス事件」になっているのでしょう。これも初耳です(シーメンスっていまでも補聴器などで有名ですよね)。

 

 

さらにちなみにですが、ヴィッカーズ社もヴィッカース社だと思っていました。

 

 

1921(大正10)年11月12日に米国の首都で開幕したワシントン会議は、第一次世界大戦直後のアジア・太平洋地域(以下東アジア)が直面した広範な問題を扱い、複数の国際条約を成立させた上で、22年2月6日に閉幕した。代表的な成果は二つで、第一に、対戦で三大海軍国となった日米英に仏伊を加えた五カ国の主力艦(戦艦)と空母の保有量を制限した五国条約(ワシントン海軍条約)である。

(P.235 )

 

(漢数字は横書きだと読みにくいので算用数字に改めています)。

 

 

上で紹介した金剛が超弩級艦として最初に保有した艦だったのに、その後わずか8年ほどで主力艦の制限をかけられる側になった日本の急激な海軍力の勃興は、いままで何も考えずに受けとめてきましたが、他国からすればものすごい脅威だっただろうなと思います。

 

金剛型は金剛のあとは国産で、比叡、榛名、霧島。

扶桑型の扶桑、山城。

伊勢型の伊勢、日向。

長門型の長門陸奥

 

 

アメリカはたぶんコロラド級までで戦艦は14隻保有。太平洋、大西洋の両洋に割り振ることを考えれば、太平洋での日本海軍のプレゼンスは特別重いものだったでしょう。

 

 

言ってみれば、100年前に日本の海軍力の急激な上昇は、いまの中国海軍の急激な膨張と同じような圧をもって受け取られたのかもしれないなあ。

 

 

しかもこのワシントン海軍軍縮条約が結ばれるまでは、長門を起点として八八艦隊計画で、戦艦8隻、巡洋戦艦8隻の16隻の主力艦を建造、維持していこうとしていたんだから、つい10年前までは自前で超弩級艦を作れなかった国と同じ国とは思えなかっただろう。

 

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大戦中の二十一ヵ条要求をめぐる日米対立や、一九一九年のパリ講和会議における激しい日米・日中対立を想起すれば、主要海軍国間の海軍軍縮を実現するとともに、東アジアにおける大国間の政治対立の源泉であった中国問題に道筋をつけたワシントン会議は、確かに大きな成果を収めた。(略)

ワシントン会議が大国同士の一時的な妥協・取引を超えた新たな秩序をどこまで形成したかに関しては、研究所の間で論争が続いている。

(P.249 ~250)

 

 

おっさんなんかはヨーロッパはベルサイユ体制、アジアはワシントン体制と教科書で習ったくちなので、そのあたりも隔世の感があります。

 

 

先日見た「トランスボーダー」展で紹介されていた日系人強制収容所なんかも、軍縮と国際協調体制のいきづまりの結果生まれたといえなくもないので、もっと本を読んで勉強していきたいな。

 

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よく考えたら、海の話題で始まり、海軍軍縮、そして過去の展覧会と絡めると、なかなかうまくまとまった気さえしてきました(笑。

 

 

【文化篇】では、夏目漱石の作品は帝大出身者(学歴貴族)たちにより文学作品というより、思索を深める一種の哲学書としてうけとめられており、生前もしくは死後早くから崇拝、神格化がおこなわれていたというのがおもしろかったです。

 

 

いまだに青空文庫でのダウンロードランキングでは一位が漱石の「こころ」だったりするので、もしかしたらいまだに崇拝、神格化の影響下にあるのかもしれないですね。

 

 

前回

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