以前もブログで書いたように、泡坂妻夫氏の「亜愛一郎」シリーズが大好きなおっさん。
読書記録は書けていないものの「ダイヤル7をまわす時」も面白かったです。
そんなわけでもっと泡坂妻夫氏の作品を読んでみたいなということで購入した「折鶴」を読み終えました。
フーダニットの作品を期待していたものの、ミステリーというよりはスリラー的な、落語でいうと人情噺みたいな、そういう作品群でした。
書かれた時期を巻末の初出一覧で確認すると、いずれも1980年代の中頃。
日本が好景気に浮かれ、高度成長期にも守ってきた伝統工芸の技術などがバブル期の商売の波に飲みこまれようとする様子が4つの短編の全てで描かれます。
亜愛一郎のシリーズが、殺人があってもカラッと明るい感じの作品が多いのに対して、この「折鶴」はやや沈鬱な雰囲気が漂います。
80年代の「おらー、金もうけるぞ」という時代にこの小説たちを読むと、けっこう違和感があったのではないかと思います。
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