先日、職場の腰部レントゲンを撮りに行く途中、県の近代美術館、博物館の前を通ると現在展示中の展覧会の大掲示板がありました。
「これは見に行きたい」ということで最終日の「明恵上人伝」展を先に見に行くことにしました。
明恵上人といえば、「夢記」という自身の夢を書き記した書物が有名で、おっさんの観覧前の知識はそこ止まりです。
観覧後は上の図録も買いました。
おっさん、基本的には今後は見に行った展覧会は全て図録を買おうと思ってるんですよね。30代の頃とかは「今後も似たような展覧会を見に行くと思うから、気に入ったのだけ買おう」と思っていたのですが、50歳を過ぎたいま、「今後、幾つの展覧会を見にいけるかわからないから、あとで振り返りたいときにすぐ見られるように図録は買おう」と思っています。
回覧しての感想としては、まず明恵の思想を華厳宗と密教の要素をあわせもつ「厳密」と呼ぶと紹介されていたこと。
「厳密」って、初めて聞きました。
なんですが、一般的な用語なんだろうか?
wikiが全てじゃないけどWikipediaの密教の宗派にも「厳密」って言葉は出てこないなあ。
二点目は明恵が自分の耳を切断したという点。
耳を切断した人物として、他におっさんが知っているのは画家のゴッホなんですが、瞋恚を断つべき僧侶(学侶)の明恵が感情的に見える耳を切断するという行為をしていることが意外でした。
現代でも自分の体を傷つけることはいいこととされないですが、中世だともっと禁忌とされていたんではないかと思うんですよね。だからこそ、自分を傷つけてまでする血判は余計に誓いとしての重みを持ったと思うんですよね。
「摧邪輪」という書物を著して批判したことについて、図録では、
P207
明恵は菩提心を重視する華厳経・華厳宗の立場にあったため、菩提心を軽視する法然の選択本願念仏集は受け入れがたいものがあったのだろう。
とのこと。
『選択本願念仏集』(せんちゃくほんがんねんぶつしゅう)は法然の著作なんですが、「菩提心」というのがわからん。
下のブログの説明を読んだ感じでは、自力救済と他力本願と似た感じなんでしょうかね?
鎌倉新仏教に対して、旧仏教の側から起こってきた、戒律復興運動の先駆けみたいなものが明恵ということになるんでしょうか?
戒律復興運動とか叡尊、忍性について書かれた本を持っていたと思い、明恵のことも書かれているかもと、自分の本棚を探してみたのですが、本が見つかりませんでした(なんという本だったかも思い出せないのです)。
法然と明恵の思想の違いについて知りたくて、先月の残り少ない生活費から「明恵対法然」という本を電子書籍で購入しました。
読みたいなとは思っているのですが、きっとiPadのストレージの肥やしになってしまうことでしょう。
おっさん、宗教の教理とか哲学とか興味はあるんですが、理解できず(抽象的な思考が徹底的に弱い)、読んでいるうちに眠たくなってきてしまいます。
あと図録を買いに寄った博物館の物販コーナーで「きのくに荘園の世界 下巻」を見つけました。
「上巻」がなかったのは残念ですが、追加で欲しかった本も買えたし、よい展覧会巡りになりました。