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社会学で最も重要な概念の1つが準拠集団です。準拠集団とは自分が何かを決めるとき、自分に強い影響を与える人々のことをいいます。準拠集団は、具体的な集団とは限らず、ある階層全般などの場合もあり、また自分が直接所属していない集団ということもあります。
この「準拠集団」という概念についての説明を読んだとき、最初に思い浮かんだのは施設で担当している元大学教員の入所者さん。仮に「教授」と名付けておきます。
「教授」の場合は、この準拠集団が昔のままなので、今の境遇と乖離していてひどい劣等感に苦しめられているんだろうなあと想像。しかし、この準拠集団は外からの力で変更することなんて到底出来なさそうだし、一体どうすればいいんでしょうかね?
単なる学部卒のおっさん(しかも畑違い)から見ても、到底大学教員(知的階級)に所属していると言える状態ではないと思うんですけどね。まあ、病気のせいもあるといえばあるんですけどね。
劣等感がうまく向上心と結びつけばいいんでしょうけど、向上心が変な方向に働いて、「教授」は「大学に戻りたい、再び教壇に立ちたい」とおっしゃるんですよね。でもなあ、この前はキャッチのつづり「catch」が出てこなくて、おっさんに訊いてたぐらいだし、おっさんには無理としか思えないんですよね。
現実を告げて、希望を打ち砕くようなことをしても自暴自棄になるか、現実を受け入れられずにより頑なになるだけなような気もするし、なにか良い手はないんだろうか?
顧みて、おっさん自身の「準拠集団」はどんな感じなんだろうと考えたのですが、自分ではよくわからないな。おっさんの根無し草感はたぶんこの「準拠集団」がはっきり自覚できていないことからも来ているのかもしれないな。
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