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柳田國男の仕事は、その後、そんなに直線的ではありませんけれどもあえて単純化するなら、網野善彦や中沢新一といった人たちに受け継がれていきます。
読んだことがないわけじゃないけれど、おっさん、どうも民俗学が好きになれない。以前、友人に「歴史は権力者側から見たものだけど、民俗学は民衆、大衆から見たもの」みたいなことを言われたのが、カチンときたのが根底にある(おっさんは史学科出身です)。
確かに伝承や伝統を持っていたのは、民衆、大衆かもしれないが、それを拾い上げて意味づけしていくのは、大衆ではなくエリートである学者じゃないかと思うのです(そこに恣意性が入らないと誰が言い切れる)。
それに民俗学が民衆、大衆の側にあると言いながら、柳田民俗学は戦前日本が南方に進出していく際に、それを擁護する役割を果たしたじゃないかという思いもある(もちろん、あの時代は全ての学問が、それに加担し、利用されていたというのもわからないではない)。
たぶん、柳田のことを大好きな松岡正剛さんも、上の中で若干そのことには触れておられる。おっさん、松岡正剛は好きなんですが、その民俗学好きはどうもついていけない感じがする。
というか、日本の知識人って、ほぼみんな民俗学が好きなような気がする(偏見)。
それに民俗学を引き継いでいるはずの、網野善彦は歴史学、中沢新一は社会学で、
正統に学問を引き継いでいるといえるのかという思いも若干あるのです(嫌いなものは嫌いなだけだろ)。
- 作者: 宮沢章夫,NHK「ニッポン戦後サブカルチャー史」制作班
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