「まなさんと一緒」の日々

一緒に暮らしている、猫のまなさんとの日常を記していきたいと思います。

「家康の正妻 築山殿」を読み終える 読書量を増やすための読書記録60

大河ドラマの題材になると、主人公に関連した書籍がたくさん刊行されるので、そのうちから一冊だけでも読もうかなということで、「家康の正妻 築山殿」を読みました。

 

 

それというのも、今年放送の「どうする家康」。

第1回がAmazonプライムで無料で見られたので、最初の方だけ見てみたところ、家康と瀬名姫(築山殿)がおままごとを一緒にやってラブラブ、うふふみたいな描かれだったので、「えー、家康が殺してしまうのに、そんなラブラブで大丈夫なん?」、「築山殿の実像って、どんなんなん?」とこの本を選んでみた次第。

 

 

読んでみて、近世の日本の統一的な統治機構である江戸幕府の初代将軍の(最初の)正妻ですら、確定的な情報はこんなに少ないのか、と思いました。

 

 

反対に初代将軍を神格化するために、家康の黒歴史に属する部分であるがゆえに正確に書くことがはばかられたのか、そのあたりはわからないのですが、築山殿の生年も、その死の理由となった武田方への内通(信康事件)もはっきりとした経過がわからないんですね。

 

 

まあ、それは家康に限らないようで、本書のP.97で

信長の妻妾と子どもについては、ほとんど本格的に検討されていないので、不明なことが多いのが現状である。今後の研究の進展に期待したい。

 

とされていて、なんだかなあと思いました。

 

 

うえで「(最初の)正妻」と書いたのは、

P.227

家康が新たな妻を立てるのは、築山殿の死後のことであった(具体的には特定されていないが、天正一〇年に妻が存在していた)。

 

と書かれており、築山殿が唯一の妻ではない様子だったため。

「ええ、家康が正妻を殺したことにこりて、正式な妻を立てずに愛妾ばかり置いたというのは嘘だったのか」と驚きました。おっさんは秀吉の妹朝日姫が嫁いでくるまで、正妻は空位だと思ってました。

 

 

他にも、漠然と三河遠江(とおとうみ)二か国を保持していると思っていた家康の領国が北側をかなり武田に侵食されていて、海側の平野部しか確保できていないことがP.128、P.152の地図からも確認できて興味深い。

 

 

家康の領国の不安定さ、武田の強勢が理解できないと、信康と築山殿が武田に内通しようとした(内通しようとしていると疑われた)背後が理解できないですからねえ。

 

 

あとは、次男ののちの結城秀康と、三男ののちの徳川秀忠の待遇の違いが「正妻」の座と生母との関係で説明されていたり、秀忠(長丸)については、彼の存在が長男(嫡男)であった信康の事件に及ぼした影響などが書かれていて、とても楽しい読書になりました。

 

 

ドラマでさんざん見てきたような徳川家康についてすら、正確に知識として知っていることは存外少ないなと大いに反省させられました。

 

 

前回

oldtypeossan.hatenablog.com