近頃、漫画は紙の本を買わずに電子書籍ですましているおっさん。
読み進めているシリーズのひとつに「チェーザレ」という漫画があります。
で、その7巻を読んだところ、主人公のチェーザレ・ボルジアがランディーノ教授という人物から教皇・皇帝二元論、叙任権闘争について教えを受けるというような場面があります。
「この叙任権の奪い合いは言い換えれば租税の奪い合いでもありました。選出された司教は租税を自らを任命した者ーつまり叙任権を持つ者へ奉納するためこの権利の有無によって教皇と皇帝の財産は大きく変動します」
「グレゴリウスⅦ世はそれまでの租税を金銭へと換金し大司教や司教
修道院からの税金を法制化
これにより教皇庁は巨額の現金収入を得ることとなり
長年財政難に喘いでいた教皇庁はこれを一気に解消
その経済安定と覇権の拡大を成功させたのです」
「権力と金ーこれに執着した時
聖人は俗人となるのです」
とグレゴリウスⅦ世を評価しつつも、厳しい評価。
そこでカノッサの屈辱に触れている「物語イタリアの歴史」の第2話「女伯マティルデの物語」を読み返してみました。
グレゴリウスⅦ世は教会の改革派であるクリュニー修道院に思想的に近く、彼が教皇に就任した際の基本政策も
「第一に聖職者の風紀引締め、第二に俗人、特に皇帝の聖職者叙任権の撤廃、第三に教皇を長としての全西欧の政治的統一、第四に十字軍による聖地奪回」
となっているので権力欲の旺盛な教皇ではあったのでしょうが、「金に執着した」とまでは言えないのではないかな、と思ったりします。
また「チェーザレ(7)」では教皇グレゴリウスⅦ世がサレルノに没落して死去する様子は描いていますが、「物語イタリアの歴史」ではもう一方の当事者ハインリヒⅣ世も実子二人に裏切られ、晩年が寂しかった様子が描かれています。
なので「その時代においては皇帝の勝利」と「チェーザレ(7)」で断じられているのも、そうなんやろか?と思ってしまいます。
まあなあ西洋史については世界史で習った程度の断片的な歴史用語の記憶しかないから、何が事実に近いのか、今の学説ではどういう考えが主流なのか、まったくわからんなあ。