「まなさんと一緒」の日々

一緒に暮らしている、猫のまなさんとの日常を記していきたいと思います。

読書メモ「五色の虹」の3

五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後 (集英社文庫)

五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後 (集英社文庫)

 

 

 

前回の読書メモ、著者の三浦英之さんにTwitterリツイートしていただいてうれしかったおっさんです。

 

 

P.179

戦争や内戦を幾度も繰り返してきた中国政府はたぶん、「記録したものだけが記憶される」という言葉の真意をほかのどの国の政府よりも知り抜いている。記録さえなければ記憶されない、その一方で、一度記録にさえ残してしまえば、後に「事実」としていかようにも使うことができるーー。

 

 

 

この本の元の単行本の発行時期は不明ですが、あとがきから単行本から文庫化されたとわかります。

 

 

単行本を出版した当時は、著者も「まさか日本がそうなるまい」と思いながら書いたと思われる上記引用の文章ですが、戦争も内戦も経験していないのに、記録を残さない国になってしまおうとしている、この国があります。

 

 

しかも、残っている記録ですら改ざんしても行政が責任を問われない。

下の「漢帝国」の読書メモでも「 文書行政こそ中央集権の要であった」との部分を引用していて、行政にとって文書はとてもとても重要なものだとおっさんは思っているのですが、どうして今の政府は文書をきちんと記録して保管しようとしないんでしょうかね?

 

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憲法の創造力」では

P.23

統治が内容的に正しく、合理的で効率的であることを「統治の正当性(Rightness,Justifiability)」と言い、(略)、国家権力が法に基づき行使されなければならない、とする法の支配・法治主義の原理により、国家権力に法の裏付けが要求され、権力濫用が防止される。

 

 

とあるのですが、現状の政府の記録を残さない方針を見ると、法に基づかない権力の濫用をおこなっているから、記録を残さないのだと「統治の正当性」を疑われてもしょうがない状況になっているように思えます。

 

憲法の創造力 (NHK出版新書)

憲法の創造力 (NHK出版新書)

 

 

 

なんだか日本の現状を考えさせられて、この「五色の虹」は買ってよかったなと思える本です。

 

 

前回 

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