この本、「兼好法師」のおまけのようなつもりで買ったのですが、けっこう衝撃です。
P.171
アジア・太平洋戦争期の軍紀の特徴は、上官の命令に対する不服従、上官に対する暴行、脅迫、侮辱、殺傷などの対上官犯の増大、そして、逃亡や奔敵(敵側への逃亡)の増大である(「大東亜戦争期の日本陸軍における犯罪及び非行に関する一考察」)。特に中国戦線での奔敵は深刻だった。
本書のここまでの記述もけっこう衝撃的でしたが、引用した上の文章なんて、「光輝ある皇軍兵士は、上官の命に従い、粛々と勇敢に戦争に参加した」と思っている人にとっては、受け入れがたい事実だろうなと思いました。
中公新書は、アジア・太平洋戦争期の本としては、「日中十五年戦争史」とか「言論統制」とか、おっさんが持っている本の中でも、いろいろ考えさせられる本が多くて素敵だわ。