図書館で借りていた「長いお別れ」を読了した。
読み返してみると、NHKで放送していたドラマは、舞台を日本に移しているものの、
原作のストーリーはかなり忠実になぞっているなと思った。
ドラマでは、小説でいうところのテリー・レノックスとアイリーン・ウェイド、
ドラマでの原田保と上井戸亜以子の愛憎を原作より濃密にして描いてあるけれども。
濃密というか、二人にとってはより重い過去で二人の関係をより規定しているとでも書いたらいいのだろうか。
音楽はかっこいいし、戦後の焼け野原は抜けだしたけれどまだ混沌としている感のある町並みなどもよいなと思った。
本として読むには、
ネットのある今は検索でわからないことがすぐに調べられるので、
おっさんの若いころとは比較にならないほど便利だなと思った。
例えば、26ページにでてくるジャウィット・ジュピターも昔なら
「そういう車もあるんかい」でよほどの車マニアでもない限りスルーするしかなかったけれど、
英語とはいえネットで写真を見ることができる。
37ページの「サヴィッジ」という中型拳銃も、
savegeのpistolなので、
Savage Arms - Wikipedia, the free encyclopedia
こんな感じの銃かなと見当をつけることができる。
Savage Model 1907 - Wikipedia, the free encyclopedia
とはいえネットのない時代でもおっさんのように調べない人ばかりではなく、
好きな作品をこつこつと調べ、本までものしておられる方もいらっしゃるのです。

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レビューによると、292ページの「九月の朝のように」というのは、
メトロポリタン美術館にある「9月の朝」という絵に由来するのだそうな。
(↑リンクを踏むと複製画が見られます)
ドラマで謎だと思ったのは、原田平蔵(小説でのハーラン・ポッター)は、
メディア王で代議士になるということで正力松太郎をモデルのひとりとしていると思うのだが、彼を登場させてドラマで言いたかったことはなんなのかということ。
その辺を考えると、「長いお別れ」の中でのハーラン・ポッターの役割もより理解できるのかなと思います。