「まなさんと一緒」の日々

一緒に暮らしている、猫のまなさんとの日常を記していきたいと思います。

「10万円要らん」という入所者さん

洗たく機を回しつつ、個別支援計画書の案を練っているおっさん。

本当は定額給付金の申請書も送らないといけないのですが、まだ封も切ってません。

 

 

職場の担当している入所者さんの中に、もう申請書も記入したのに(って名前書いてもらっただけやけど)、「あの10万円要らんから」という方がいます。

 

 

なぜ?と訊くと「得体のしれん金もらったら怖いから」みたいな返事。

 

 

「ニュース見てないですか?政府が10万円くれるんですよ」

では通じなかったので、

 

「コロナという病気が流行って、仕事に行けない人がたくさんいるので、国民みんなに10万円くれるんです」

と説明しても納得されず。

 

 

この方は生活保護受給者なので(「この方も」と書くべきか)、

「ここで暮らしているお金と同じで国がくれるんですよ」

と言ってみてもやはり腑に落ちていない、どころか全然理解してないと伝わってきます。

 

 

そういえば、この人に「銀行」の説明とか「(ご本人のお金のうち)口座にあるお金と、(施設の)金庫にあるお金」の説明を図に書いて説明しても、全然理解してもらえなかったんだった。

 

 

屋根のある家の中に住めて、お金を払わなくても食事が出てきて、大量ではないけどお菓子も食べられて、コーヒーも飲める。その生活のお金はどこから出てきていると、思ってこの人は生活しているんだろうな?

 

 

生活に必要な服とか布団を買うのをすごく渋るんだけど、自分が多額の貯金を持っていてそれを切り崩して生活していると思っているんだろうか?

 

 

でも、移動販売のお菓子は買いたがるんだけどなあ。

 

 

「国」とか「政府」とかそういう社会に対する認識はたぶん0に近いような気がする。そうなると「お金」もどう理解しているんだろうな。紙(紙幣)を渡すと物が買えるという経験則だけで理解しているのかな?

 

 

個人ファイルを見直しても「学歴」は全く不詳だった。

服を着たり、体を洗ったりはできるから学校に行かずにご両親に自宅で身の回りのことだけは習いつつ成長したんだろうか?

 

 

おっさんみたいに「社会の中で居場所がない。そのせいで窮屈だ」と感じるのも不幸だけど、この人みたいに「社会ってなに?」みたいなのも不幸だなあ。そもそも、この人のアイデンティティってなんなんだろう?

 

 

周りのことがわからなくて不安になったりしないのだろうか?

まあ不安になってるから「10万円要らん」というんだろうけど、こういう顕在化の要因がない場合は、不安はないんだろうか?

 

 

なんかいろいろ考えてしまったな。

たぶん個別支援計画書には全然反映しないけど。