読み終えて、近代の浄土真宗について書いた部分をもっとこの著者で読みたいなと思いました。もう少しボリュームがあっても良かったと思いましたが、本の趣旨的にはそこは付け足しの部分だからなあ。
専門は日本宗教史となっているけど、時代区分的には中古(平安)から中世が主なようだし、今谷明みたいに専門の時代についてだけ書いていればよかったのに、という風になる可能性もあるしな。
明治以降に再発見されて、悪の旧仏教に対して、善の新仏教、そのなかでも代表とされ、革新的、合理的な仏教を開いた親鸞(とその継承者)たちを神聖化するのではなく人間レベルに戻して再理解しようとする著作でした。
なかでも浄土真宗のもっとも肝の部分、「他力」が親鸞自身の中でも揺れがあり、家族にはあまり理解されず、継承者たちも他力を理解しつつも、表と裏で使い分けていたりと、教えがかっちりと確立するまでの(確立してからも)揺れがあるのが面白かったです。
どんな体制でも確立したと思ったら、すでに崩壊が始まっている。そんな感じが諸行無常ですね。
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2024年2月14日:リンク追加