「まなさんと一緒」の日々

一緒に暮らしている、猫のまなさんとの日常を記していきたいと思います。

「ビッグイシューの挑戦」その2

前回の感想が、この本の感想というよりも個人的な感慨といった感じになってしまったので、 その2として、読書後の感想をあらためて書いてみます。 この本で最も衝撃を受けたのは、イギリスの「ビッグイシュー」の創設者のひとり、 ジョン・バード氏が大阪の釜が崎をを訪れて、その光景を目にしたときに口にした言葉、 「The Third world」という言葉でした。 自分の国の中に「第三世界」があると言われてはじめて自分の国の現状に気づくのも情けないことですが、 イギリスの「ホームレス」も、日本の「ホームレス」も当然同じような状態だと思っていました。 ところが、イギリスでは、日本的な「ホームレス」である路上生活者は、 「rough sleeper」と呼ばれ、1,000人に満たないのだという。 つまり、「ホームレス」の定義が、そもそも日本とイギリスでは違うのです。 日本では厚生労働省の定義する「ホームレス」は、 「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場として日常生活を営んでいる者」 他方、イギリスでいう「ホームレス」は、 「1、自分で占有できる住まいを持っていない人  2、家があってもそこに立ち入れない人  3、28日以内に家を失う可能性のある人」 でイギリスの「ホームレス」は基本的に屋根のある住居に住んでいるのだという。 日本は路上生活を行う「ホームレス」が2010年の全国調査で13,000人、 イギリスの基準に照らすと、おそらく「ホームレス」の数は10倍にものぼるという。 また、ホームレスになった理由も、 イギリスでは貧困からくるDVやアルコール依存、薬物依存が多いというが、 日本では失業が契機になるという。 であれば、この失業が普通の時代、 日本人の誰もがいつホームレスになってもおかしくないのではないでしょうか? 一部のだらしない人の問題ではなく、 日本人全体が直面する問題として、ホームレスの問題を考えねばならないと思いました。 このホームレスの問題と隣接しているであろう自殺の問題も考えると、 13,000人が路上で生活し、毎年30,000人が自殺する社会は健全とは思われないですし、 自分とは縁の無いことだとは、とうてい考えられないと思うのです。